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【解説】 セルビアのヴチッチ氏の失脚、ハンガリーのオルバン氏と多くの類似点
ニック・ソープ・ブダペスト特派員
昨年11月にセルビア北部で、同国のアレクサンダル・ヴチッチ大統領とハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相(共に当時)が会談したとき、自分たちが1年以内に政権の座を追われることになるとは、想像もしていなかっただろう。
両者とも、市民の抗議運動によって失脚した。オルバン氏は今年4月の総選挙で、マジャル・ペーテル氏が率いる中道右派政党「ティサ(尊重と自由)」に敗れた。そして10月末、セルビアの議会選挙で、結成からわずか2年足らずの学生主導の中道勢力「学生リスト」が圧勝した。
ハンガリーのティサとセルビアの学生リストは大きく異なっている。ティサはマジャル党首の個性とエネルギーを中心としているのに対し、セルビアの学生たちは自分たちには指導者がいないと主張している。
しかし、ハンガリーで79%、セルビアで69%という驚異的な投票率は、両国のテクノロジーに精通した若者たちによってもたらされた。彼らはAIツールを使って数字を分析し、投票への脅威を特定し、数万人の選挙監視員を動員して、政権与党による脅迫や選挙不正を防いだ。
両国における野党の勝利には、有権者の動員と選挙監視員の役割が大きな役割を果たした。
ハンガリーの市民活動団体「DE」は先週末、70人の選挙監視員をセルビアに派遣。学生リストの代表者たちと協力するため、セルビア北部ヴォイヴォディナ自治州の投票所を訪問した。
DEは夏の間、選挙が正式に発表される前から、ハンガリーでの選挙で得た経験や手法をセルビアの学生たちと共有するためのワークショップを開催した。
重要な手法の一つは、事前に「感染した」選挙区を特定することだった。過去の選挙で与党への得票数が驚くほど多かったことから、有権者への脅迫や「連鎖投票」といった手法が用いられた可能性が示唆される選挙区のことだ。
「選挙当日の午後4時頃から、覆面をしたフーリガン、つまりヴチッチ支持者たちが投票所の近くに集まっているのに気づいた」と、同州スボティツァ出身の学生活動家ペーテル・クレム氏はBBCに語った。「そこで私たちは機動チームを派遣し、あらゆるものを撮影し始めた」。
既に配置されていた「常駐」監視員に加え、脅威にさらされた投票所に20人から30人のボランティアを配置したことが、強力な抑止力となり、脅迫や不正行為を防いだと、クレム氏は考えている。
ハンガリーのオルバン氏とセルビアのヴチッチ氏は、どちらも無敵に見えた。両者とも強力な指導者であり、それぞれ16年と14年間もの間、政権を握り、国家機関を掌握し、両国にまたがるビジネス帝国を築き上げていた。
2人はほぼ1年前、スボティツァの町の中心部にある小さくて人気のパン屋で、伝統的なブレクというペストリーを昼食にとった。オルバン氏はチーズ入りを選び、ヴチッチ氏は肉入りを選んだ。
2人はその後、地元のワイナリーへ向かい、石油やその他のビジネス取引、特にハンガリーによるセルビアの石油会社NISの株式買収計画について話し合った。ナショナリストの2人は、ビジネスと政治の両面で多くの共通点を見いだしていた。中でもロシアのウラジーミル・プーチン大統領や中国の習近平国家主席との友好関係、そしてボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人分離主義政党のトップ、ミロラド・ドディク氏への強い支持は、重要なものだった。
両国の首都ベオグラードとブダペストを結ぶ高速鉄道は、中国の資金と技術によって建設が進められている。
この2人の失脚の経緯には、驚くべき類似点が見られる。たとえば、ヴチッチ氏は投開票のあった10月25日午後9時30分に敗北を認めたが、オルバンが敗北を宣言したのも、投開票日だった4月12日の同じ時刻だった。両者が平和的に敗北を認めるとは、ほとんど誰も予想していなかった。
また、ヴチッチ氏が選挙当日、オルバン氏に助言を求めるため電話2度をかけたという臆測が流れている。1度目は敗北を認める前、2度目は午後11時15分だったという。そして、オルバン氏がヴチッチ氏に武力行使をしないよう説得したというのだ。
ヴチッチ氏は、敗北宣言前にオルバン氏と話したことを否定しているが、その後の会話については認めている。BBCはオルバン氏にコメントを求めたが、同氏は拒否した。
セルビアでは投票締め切り1時間前、覆面やフードを被った自警団員たちが、ベオグラード中心部に陣取った。投票中も、同様の集団が多くの投票所で写真に撮られ、選挙監視員によって阻止された。
もう一つ奇妙な数字の類似点がある。学生リストはセルビア議会(定数250)で140議席を獲得したが、これはマジャル首相率いるティサ党がハンガリー議会(定数199)で獲得した議席数と同じだ。
セルビアでの選挙の晩、学生たちに直接電話をかけて祝福の言葉を述べたヨーロッパの指導者はマジャル氏だけだった。おそらく、学生たちの電話番号を知っていたのも同氏だけだっただろう。
マジャル氏はBBCに対し、「ティサの物語が他国のインスピレーションとなる可能性があると聞くのは、常に喜ばしいことだ」と語った。
一方、学生リストで筆頭候補だったイリヤ・スルダノヴィッチ氏は投票前夜、「ハンガリーの選挙結果は、我々がここでやっていることが正しいと、明確に示してくれた」と述べた。
スルダノヴィッチ氏は、マジャル氏がその翌日の夜に話した人物の一人だった。
現在63歳のオルバン氏と56歳のヴチッチ氏は、汚職と権力乱用の罪で訴追される可能性がある。
ハンガリーとセルビアの司法制度は類似している。セルビアの組織犯罪検察庁(JTOK)とハンガリーで新設された公的資産回収・保護庁(NVVH)は、似たような権限を持っており、両機関が互いに有益な協力関係を築く可能性がある。
オルバン氏に近いハンガリー企業も、セルビアの学生運動のきっかけとなったノヴィ・サド中央駅の改修プロジェクトに関与していた。同駅では改修工事中の2024年11月に駅舎の屋根が崩落し、16人が死亡する事故が発生。汚職と過失が原因とされた。
「ヨーロッパでは、オルバン政権とヴチッチ政権が長く続くほど、その力は強大になるという認識が広まっていた」と、ハンガリーの市民活動団体DEの創設者であるティマル・アーロン氏はBBCに語った。
「しかし実際のところ、彼らは弱体化していった。そして社会が声を上げ、立ち上がったときには、それを止めるすべはなかった」