【米中間選挙 2026】 AI関連株の急落、なぜ起きたのか

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セオ・レゲット国際ビジネス担当編集委員、オズモンド・チア・ビジネス記者
人工知能(AI)をめぐる、いわゆるゴールドラッシュは終わりを迎えつつあるのか。それとも、これは単に現実に立ち返っているに過ぎないのか。
こうした疑問が投資家たちの頭から離れず、世界各地の株式市場で大幅な下落を招くこととなった。
アメリカでは5日、米グーグルの親会社アルファベット、半導体大手エヌビディア、SNS企業メタ、テクノロジー大手アップルといった巨大テクノロジー企業が上場するナスダック市場で、最も劇的に売りが進んだ。
この背景には、3日投開票の米中間選挙で野党・民主党が大幅に議席を伸ばし、連邦議会の上下両院で主導権を奪ったことがある。
民主党の複数の有力政治家は、AIの成長を支えてきたデータセンターを無制限に拡大することに反対する政策を掲げて選挙戦を展開した。
これにより、AI規制が強化されるのではないかと、投資家の間で懸念が広がったとみられる。ただし、AI業界の将来性をめぐる不安感は以前から高まっていた。
AIブーム
米オープンAIは2022年後半に、AIチャットボット「チャットGPT」をリリースした。これをきっかけに、AIの実用的な利用方法に対する一般市民や企業の関心が一気に高まったと広く考えられている。そしてこれが、現代のゴールドラッシュを引き起こした。
投資家たちは、半導体を製造企業やネットワークインフラを構築する企業、データセンターの建設を担う企業、必要な電力を供給する企業、そしてAIそのものを開発する企業にこぞって資金を投じた。その結果、テクノロジー企業の時価総額は急騰した。
AIブームは2026年に入っても続いた。米金融大手ゴールドマン・サックスの調査によると、AI分野への投資額は2026年だけで1兆ドル(約158兆円)に達する見通しだ。市場に流通する資金はAI分野に大量に流れ込み、ほかの産業では借入コストが上昇している。
しかし、投資家たちが求めるのは利益だ。AIブームが期待されているほどの富を生み出せるのかという懸念が、ここ数カ月の間、高まっている。
こうした中、AI研究者たちはAIの安全性に疑問を投げかけている。さらには、AIが人類の存続を脅かす可能性さえあるという意見さえ、次々と出ている。このような見方が大きく報じられたことで、今後AI規制が強化されるのではないかという観測が加速した。
データセンターの拡大などに反対する民主党
トランプ政権は、大統領が「超知能」(SI、スーパーインテリジェンス) と呼ぶAIの開発を全面的に推進してきた。対照的に民主党の多くの有力政治家らは、データセンターの拡大や、地域社会への影響をめぐる市民の懸念を選挙戦で訴えた。
市民は主に、データセンターが大量の水と電力を消費し、一般家庭の光熱費を押し上げる可能性や、騒音問題、土地の利用および周辺地域に生じる混乱について懸念している。
世論調査会社ギャラップが5月に発表した調査では、アメリカ人の71%が、自分が暮らす地域にデータセンターが建設されることに反対すると回答した。原子力発電所の建設に反対すると答えた人は53%だった。
共和党の牙城とされてきたテキサス州の連邦上院選で勝利した民主党のジェイムズ・タラリコ氏も、こうした懸念に応えた候補者の一人だった。
タラリコ氏は、「AI分野におけるアメリカの主導的地位を守りたい一方、自分たちの働き方から子どもたちの学び方まで、あらゆるものにAIがどう影響するのかについては、私たちは今も模索中だ」と述べた。
そのうえで同氏は、「アメリカ国民を守り、ビジネスのために明確で一貫性のある法律を整備する必要がある」と強調した。
連邦議会の上下両院を掌握した民主党は今後、トランプ氏のテクノロジー政策にこれまで以上に強く対抗するとみられる。AI業界の拡大を抑制し得る法律を導入しようとする可能性もある。
テキサス州知事に当選した民主党のジーナ・イノホサ氏は、選挙戦でデータセンター建設に強く反対し、新規建設を一時停止すると公約していた。
イノホサ氏が勝利したことで、テキサス州政府は今後、同州へ宇宙開発企業スペースXや電気自動車大手テスラの事業の多くを移した米実業家イーロン・マスク氏に、対抗していく可能性がある。
マスク氏は今回の中間選挙で、約4億5000万ドル(約710億円)を投じて、共和党の選挙活動を支援した。
株式市場は今後どうなる
イギリスの半導体設計会社ARMホールディングスの共同創業者、チューダー・ブラウン氏は、「株価は現在の利益ではなく、将来的な利益に基づいて決まるものだ」と指摘した。期待されたほど大きな利益が見込めないなら、一部の投資家は売りに転じるだろう。
5日にかけて世界の株式市場で株価が急落したのは、米中間選挙の結果が引き金だったようだ。しかし、テクノロジー企業の株価が実態よりも過大に評価されているとの懸念は、選挙のずっと前から浮上していた。
今回の下落は、過熱した市場から余分な期待を取り除くものにすぎないのか。それとも、AIブームというバブルが崩壊寸前にあり、もっと広範な影響を及ぼすことを示す兆候なのか。それが今の疑問だ。
調査会社フューチャー・マーケット・インサイツのナンディニ・ロイ・チョードリー氏は、政治情勢の変化が、データセンターの建設やエネルギー消費、AI技術の導入に対する規制につながるかどうかを、投資家は今後評価していくだろうと述べた。
チョードリー氏はさらに、トレーダーたちは今後、財務基盤の堅実な企業をより厳選して優先する可能性が高いとし、テクノロジー関連株が直ちに広範囲で回復する可能性は低いと付け加えた。
ARMホールディングスのブラウン氏は、影響は限定的なものになるとの見方を示した。「AIがほぼ無限に成長する」との期待感から、株の評価が押し上げられていたが、その後、「若干のパニック」が生じたとブラウン氏はみている。
「(株価の下落には、下げ止まるか反発に転じるとみられる)下値支持線がある。その水準に達した後は、これらの企業が実際には、多額の利益を上げ続けている実態が株価に反映されるはずだ」















