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ウクライナ南部オレシュキから数百人避難、異例の局地的停戦
ロシアとウクライナ当局は、人道的な停戦合意を受け、ロシア占領下で壊滅的な被害を受けているウクライナ南東部オレシュキから、住民数百人が避難したと発表した。停戦合意は米メラニア・トランプ米大統領夫人やローマ教皇レオ14世が仲介したとされ、「何事もなく全てが順調に進み、優れた組織的な対応に双方とも感銘を受けた」と、ロシアの人権オンブズマン、ヤナ・ラントラトワ氏は述べた。
ウクライナ当局は、避難住民がロシア南部に向かっており、そこからベラルーシを経由してウクライナへ向かう予定だと確認した。
メラニア・トランプ氏は、「オレシュキへの安全な出入りルートを含む、護送隊のすべての要素は、ロシアとウクライナの指導者間の相互合意によって確立されたもの」だと述べた。
ラントラトワ氏は30日夜、記者団に対し、「米大統領夫人に対し(中略)メラニア・トランプ氏の調整の下で、困窮する住民に援助物資を届けるこのような人道支援活動を、定期的に実施してほしい」とウクライナの担当者と共同で要請したことを明らかにした。
ロシアが2022年2年にウクライナ全面侵攻を開始して以来、最長かつ最も広範囲にわたる停戦が27日から、戦いの前線となっているヘルソン州全域で発効している。このため、オレシュキからの避難ルートの地雷除去が可能になった。
避難を希望する住民には、30日に4時間の猶予期間が設けられた。25台のバスからなる車列が手配され、午後2時までに最大750人が町を離れることができた。移動が困難な人のためには、救急車が用意された。
他方、甚大な被害を受けたオレシュキでは、ガス、電気、水道の供給が停まっているにもかかわらず、数百人が町にとどまることを決めたもよう。
ウクライナの人権オンブズマン、ドミトロ・ルビネツ氏は30日午前、「オレシュキから離れたい全員が、安全にそうできるようになる」としたうえで、「同時に、とどまることを選択した人は、とどまることができる。そのために必要な、あらゆる人道支援を受けられる」と述べた。
ウクライナ軍の陣地はオレシュキから約5キロの距離にある。避難する住民はまずロシア占領地域に入った後、ロシア南部の都市アナパへ向かう必要がある。
ウクライナへ戻ることを希望する住民はさらに、ロシア政府機でベラルーシのゴメリに向かい、そこから車で国境を越えてウクライナのチェルニヒウ州に入る予定となっている。
そのほかの人々は、ロシア占領地域にとどまることを選択すると予想される。
ウクライナ人権オンブズマンのルビネツ氏とロシアの同ラントラトワ氏は30日、ロシア占領下のクリミア半島にあるアルミアンスクを出発し、オレシュキへ向かった。
開戦以来、ロシア占領下のウクライナ地域をウクライナ当局者が訪れるのは、ルビネツ氏が初めて。同氏はさらに、31日にウクライナへ帰還する避難住民を伴うため、ウクライナ当局者として開戦後、初めてロシアを訪問することになる。
オレシュキ停戦には、ルビネツ氏とラントラトワ氏の緊密な協力が必要だった。ルビネツ氏は、協力したのは人命救助のためだったと述べた。
しかし、ウクライナ国民の間には、オレシュキ住民の多くを殺害し、残った人々の生活を耐え難いものにしたロシア占領軍の代表者の隣に、ルビネツ氏が立つ姿を見て、嫌悪感を抱く人もいた。
ルビネツ氏とラントラトワ氏はそれぞれ、オレシュキで撮影した動画を自分のソーシャルメディアに投稿。避難する住民は、ロシア支配地域に行くかウクライナに戻るかに応じて、二つのグループに分かれたと説明した。
動画の一つでは、ルビネツ氏が涙を流す地元住民と面会する様子が映っている。
「大勢がここに残ることにしたのが、問題だ」とルビネツ氏は動画で言い、「本人たちの選択だと聞いている。人道支援物資が届くよう、できる限りのことをするつもりだ」と述べた。
ロシアは29日、避難を希望しない住民のために、食料、医薬品、衛生用品、発電機用燃料など、「数十トン」の支援物資を用意したと発表した。
住民の一人はBBCに対し、「ペットと一緒に行かせてもらえないので、仕方がない」と、避難しない理由を話した。
首都キーウに住むオレナさんは、オレシュキに住む祖母や親類が現地に残ることにしたと、BBCに語った。
「上の世代は、地元を離れたがらない」、「父を説得するのがやっとで、それも私がつい最近赤ちゃんを産んだばかりだと言うのが、唯一の理由だった。こうしなければ、父は赤ちゃんに会えなかったなずなので」。
オレナさんの祖母の姉妹は昨冬、オレシュキで亡くなった。
「地雷を踏んで両足を失い、雪に覆われていた(中略)周りの人たちが、彼女を庭用の手押し車に乗せて病院に連れて行った」のだと、とオレナさんは話した。
「オレシュキでは、負傷者や死亡者を病院や病院の霊安室まで運ぶのに、地元の人々はいつも庭用の手押し車を使っている」
停戦は11月1日まで続く予定。これにより、ロシアの全面侵攻が始まって以来、ヘルソン州では初めて数日間平和が訪れた。
ヘルソンの住民はBBCに対し、停戦合意に「大喜び」していると話した。しかし同時に、停戦によってロシアがドニプロ川沿岸に軍事拠点を増強する時間を得たことを懸念して、停戦期限が切れれば再び攻撃を受けるかもしれないと心配している。
ロシア大統領府(クレムリン)は30日、オレシュキ停戦が成功したからといって、停戦をウクライナ全土に拡大するつもりはないと言明した。
少数の外国人ジャーナリストが、避難状況を取材するために招待された。ロシア側はこれを、住民を守るための慈悲深い人道支援活動として強調するものと予想される。
多くのウクライナ人は、ロシアの真の目的はホワイトハウスからの評価を高め、来週の中間選挙を前にドナルド・トランプ米大統領に追い風を吹かせることだと疑っている。