欧州7カ国のスーパー冷蔵・冷凍庫にサイバー攻撃 大量の食品が廃棄に

赤いポロシャツに黒いパンツ姿の女性が黒い手袋をはめ、冷凍庫から食品を取り出し、カートに積んでいる。複数のスタッフが同様の作業をしており、フロアには食品でいっぱいになったカートが並んでいる
画像説明, スーパーの冷凍庫から大量の食品を廃棄するため取り出すスタッフ(2日、スウェーデン・ショーボ)
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ヨーロッパの7カ国で2日、数十店舗のスーパーマーケットが、冷蔵庫や冷凍庫を狙ったサイバー攻撃を受けた。

ベルギーとルクセンブルクではデルハイゼ・スーパーマーケットの約40店舗が影響を受けた。スウェーデン、アイルランド、オランダ、エストニア、フィンランドでも、一部の店舗が被害を受けた。

ヨーロッパ各地の複数店舗で、冷凍庫内の温度が最高50度まで上昇したとされている。

今回の攻撃が何者によるものかは、分かっていない。

大型店舗の裏口で、黒い服や蛍光バンドのついた防具服を着た職員が、大量の廃棄食品の入った袋をゴミ回収車に放り込んでいる
画像説明, スウェーデンのICAスーパーマーケットの従業員は、被害を受けた食品を次々と廃棄した(2日、ストックホルム)

ヨーロッパのほとんどのスーパーマーケットはインターネットに接続されており、管理や問題対応は遠隔操作が可能になっている。

攻撃された冷蔵庫の一部は、ベルギー企業サブコベルの製品。同社は、冷蔵庫の蒸発器が霜取りモードに切り替わり、庫内温度が上昇したと述べた。これは、10月にフランスのスーパー数百店舗が被害を受けた攻撃と同じ手法だと考えられている。フランスのメディアは当時、この攻撃のため店舗側は数百万ユーロ相当の食料を廃棄することになったと報じた。

デルハイゼの冷蔵・冷凍システムを運営するサブコベルのシュテファン・メーランス最高経営責任者(CEO)は2日、ベルガ通信に対し、今回の事態はサイバー攻撃によるもので、同社は「影響を受けた機器をネットワークから切り離すために一晩中作業していた」と話した。

メーランスCEOは、フランスで10月に起きた攻撃以来、同社は「顧客の冷蔵庫をこの脆弱(ぜいじゃく)性から守る」ために取り組んできたが、ソフトウェアのアップデートだけでなく、物理的な改修が必要だと述べた。

「一番簡単な解決策は、安全なインターネット接続を介して冷蔵庫を管理することだ。フランスでのテロ攻撃後、私たちの顧客のほとんどがこの方法に切り替えた」とメーランス氏は付け加えた。

ベルギーとスウェーデンの両国の国家サイバーセキュリティー機関は、今回の事態を監視していると述べた。

イギリスの国家サイバーセキュリティーセンターは、国際的なパートナーや業界と協力して「事態の詳細を完全に把握する」ために取り組んでいると述べた。イギリス国内では、同様の事態の報告はない。

アメリカでは、8月に複数の米軍基地で発生した冷蔵設備の故障の原因を当局が調べており、フランスでの事件との関連性をフランス当局と協力して調べている。

ほとんど空になったスーパーの冷蔵庫。
画像説明, アイルランドのスーパー、スーパーヴァリューも被害に遭った。ガラスドアの張り紙には「技術的な問題のため、一部の冷蔵・冷凍食品が一時的に品切れしています。ご迷惑をおかけしてお詫びしますと共に、ご理解に感謝いたします」と書かれている(2日、アイルランド・ルーカン)

欧州各地の店舗で被害

ベルギーのスーパー大手デレーズのフランドル・ホイラールトにある支店は、ニュースサイトに対し、10万ユーロ(約1770万円)相当の青果物を廃棄することになったと話した。加えて、この見積もりには閉店に伴う損失は含まれていないという。

フランスの小売り大手カルフールは、ベルギー国内の15店舗が今回の攻撃の影響を受けたと発表。全店舗の営業を継続できるよう、直ちに対策を講じたと述べた。

食品小売り大手スパーをベルギーで経営するコルルイト・グループの広報担当は、ロイター通信に対し、5店舗で冷蔵システムが攻撃されたと話した。

スウェーデンの家具小売り大手イケアは、ベルギー西部モンスにある店舗の冷蔵システムが影響を受けたと発表した。ロイター通信によると、同社の広報担当は「他の店舗にも影響が出る可能性は否定できない」と述べている。

赤い制服を着た従業員たちがスーパーの冷凍庫から買い物カートに食品を移し替えている。手前には冷凍食品でいっぱいのカートが写っている。
画像説明, サイバー攻撃を受けたスウェーデンのICA食料品店で、スタッフが次々と冷凍庫から食品を取り出した(2日、スウェーデン・ショーボ)

スウェーデンでは、ICAとコープ(生協)の複数店舗が被害を受けた。

ICAの広報担当は、今回の事態が「ICAの中央ネットワーク外で営業する少数のICA店舗」に影響を与えたと認め、「ICAは現在、影響を受けた店舗が状況に対処できるよう支援している」と述べた。

スウェーデン南部ショーボにあるICA支店の一つが、「冷蔵庫と冷凍庫が昨夜ハッキングされ、温度が50度に設定されていた」とソーシャルメディアに投稿した。この店舗はいったん閉店後、営業を再開した。

スウェーデンにあるコープ800店舗のうち7店舗も影響を受けたが、「状況は現在収束しており、コントロールできている」と、同社はBBCに話した。

隣国フィンランドでは、食品小売り大手ケスコが展開するKストアの一部で冷蔵庫の故障が確認された。 同社オーナーはフィンランド紙に対し、同社のセキュリティ専門家が問題の原因を調査していると述べた。

この攻撃は、アイルランド、オランダ、エストニアの店舗にも影響を与えている。

アイルランドでは、スーパーヴァリュー13店舗が影響を受けた。同チェーンを展開するマスグレイヴ・グループの広報担当は、アイリッシュ・タイムズ紙に対し、同社の冷蔵システムが「サイバー攻撃」に遭ったと認めたが、影響は「特定の型」の冷蔵庫に限られていると話した。

被害を受けたネットワーク接続型の冷蔵・冷凍設備の一部には、デンマーク企業ダンフォスの温度制御技術が使われていた。同社の広報担当はオランダの公共ラジオ局NOSに対し、オランダ国内で少なくとも17社の冷凍・冷却システムが夜間に襲撃され、精肉店や小規模な商店が被害を受けたと話した。

エストニア公共放送によると、国内でセルヴェル店舗が被害に遭ったほか、国内の他の企業も影響を受けているという。