欧州各国の航空会社と空港に偽の爆破予告、緊急着陸や捜索相次ぐ 爆発物は見つからず

滑走路に駐機している中型の旅客機。周囲は一般的な空港の景色ではない
画像説明, アイルランドの航空会社エアリンガスの旅客機は、爆破予告を受けてフランスのエヴルー空軍基地に着陸した(5日)
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ガブリエラ・ポメロイ、ヤロスラフ・ルキフ

ヨーロッパ各地で5日、空港や航空機に対する爆破予告が相次ぎ、複数の空港と少なくとも21便に影響が出た。こうした事態は今週2度目で、イギリス当局はこれを「悪質な偽の脅迫」と呼んでいる。

これまでにオーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、フランス、イタリア、ポーランド、ルーマニア行きの便が影響を受けた。ダブリン発ローマ行きのエアリンガス機は、脅迫を受け、フランスの空軍基地への着陸を余儀なくされた。また、フィンエアーのヘルシンキ発ローマ行きの便は、イタリアの戦闘機に護衛されての運航となった。

英格安航空イージージェットは、ニューカッスルとグラスゴー発の便が警戒措置として、プラハで警察の出迎えを受けたと発表した。ロンドン・ヒースロー空港とバーミンガム空港にも脅迫があったが、信ぴょう性は低いと判断された。

これまでの捜査で爆発物は発見されていない。一部の事件については無名のグループが犯行声明を出しているものの、一連の爆破予告がそれぞれ関係しているかも不明だ。

イタリアの首都ローマの空港当局は、到着便2便に対する脅迫が電子メールで送られてきたと発表した。

当局によると、脅迫には、「男性国家の戦士」と名乗るグループまたは個人の署名が入っていた。彼らは「フェミニスト政権」を標的とし、「歴史に名を刻む」と主張している。

脅迫には、爆発で「空を赤く染める」と書かれていた。

こうした詳細はイタリアのメディアが最初に報じた。その後、市内の2空港を管理するローマ空港公社もその内容を認めた。

「男性国家の戦士」とは、おそらくロシアの極右団体「ムジスコイ(男性)軍団」を指していると思われる。この団体は極めて過激な思想を持つため、2021年にロシアの裁判所によって活動禁止処分を受けた。しかし、その翌年に始まったロシアのウクライな全面侵攻を公に支持しており、インターネット上で数万人のフォロワーを維持していた。

脅迫メールが本物だとしても、それが警察や空港当局がこうしたデマを流している犯人やその理由を特定する手がかりとなる可能性は低い。

ヒースロー空港は声明で、同日午前中に脅迫を受けたが「信ぴょう性がないと判断した」、「乗客、従業員、航空機に危険はない」と説明した。

「イギリスには、こうした状況を評価し安全に管理するための強固な航空保安基準が整備されている」と声明は述べている。

一方、バーミンガム空港の広報担当者はBBCに対し、脅迫を受けた後、「緊急サービスや関係機関と連携して直ちに手続きを開始した」と述べた。

イギリスのハイディ・アレクサンダー運輸相は、5日に発生した事件を「悪質な偽の脅迫」だと表現した。

アレクサンダー運輸相は、政府は「これらの脅威を真剣に受け止めている」と述べ、さらに「偽計や悪意のある脅迫に対処するための確立された手順がある」と強調した。

イギリス政府の報道官はその後、その日の「早朝」に報告された脅迫は「解決された」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

そのほか、5日には以下の脅迫があった。

  • アイルランドのエアリンガスは、脅迫を受けたダブリン発ローマ行きの1便が仏ノルマンディーに行き先を変更し、無事着陸したと発表した。同社は、「顧客をできるだけ早く最終目的地へお送りできるよう尽力している」と付け加えた
  • フィンランドのフィンエアーによると、ヘルシンキ発の2便に対し脅迫があったが、どちらも予定通り目的地に着陸した。ローマ空港当局はBBCに対し、1便はイタリア空軍の戦闘機に護衛されてローマのフィウミチーノ空港に着陸し、もう1便はオーストリアのウィーンに着陸したと語った
  • ハンガリーの格安航空ウィズエアでは、イタリア・ミラノを出発した2便が影響を受けた。1便はワルシャワに向かっていたが、ウィーンに目的地を変更した。もう1便はブカレストに無事着陸し、機体の点検が行われている
  • ポーランドの航空会社LOTは、脅迫を受けたワルシャワ発ブリュッセル行きの1便は予定通り着陸し、「不審物は発見されなかった」と発表した。また、ワルシャワ発パリ行きの1便は離陸前に停止させられ、機体と手荷物の検査があったが、危険物は発見されなかったとした
  • ブルガリアのメディアによると、アイルランドの格安航空ライアンエアーの3便がブルガリアに着陸した。このうち、コペンハーゲン発とマドリード発の便は予定通り首都ソフィアに、ロンドン発ソフィア行きの便はプロヴディフに着陸した。これらの便は脅迫を受け、ブルガリア空軍の戦闘機に護衛されていた
  • イージージェットは、ニューカッスルとグラスゴー発のプラハ行きの2便が影響を受けたと発表。「両便の乗客は通常通り降機した」と述べた。チェコ警察によると、両便を含むプラハに着陸した4便を捜索したが、爆発物は発見されなかった
  • ギリシャのエーゲ航空は、テッサロニキ発ミラノ行きとアテネ発ウィーン行きの2便について「爆破予告があったとの連絡を受けた」と発表した。同社は、脅迫は「根拠のないもの」であり、両便ともそれぞれの空港から出発したと述べた
  • イタリアの通信社ANSAは、ポルトガル・ポルト発ミラノ行きのライアンエアー便が脅迫を受けたが無事着陸し、その後、爆発物処理の専門家による検査が行われたと報じた
  • スペインの空港当局は、マドリード空港で3便に影響が及ぶ爆破予告があったが、検査の結果、脅威はなかったと発表した。イベリア航空はその後、ミラノ発マドリード行きとローマ発マドリード行きの2便が影響を受けたと発表した。3機目が、前述のライアンエアのマドリード発ソフィア行きの便かどうかは不明
  • エア・セルビアは、ベオグラード発ブカレスト行きの便が「目的地空港に無事着陸した」と発表。調査の結果、報告された爆破予告は「根拠がないと判断された」と述べた
11月5日に発生した航空機爆破予告の影響を受けたヨーロッパの国々を示した地図。影響を受けた便の出発地、到着地、行き先が変更された空港の場所が丸で示されている。影響を受けた便の出発地は、ポルトガル、スペイン、アイルランド、イギリス、デンマーク、フィンランド、ポーランド、イタリア、セルビア、ギリシャ。目的地は、フランス、ベルギー、チェコ、オーストリア、ポーランド、イタリア、ブルガリア、ルーマニア。また、フランス、オーストリア、ブルガリア行きの便で目的地が変更された。

英コヴェントリー大学のフィリップ・バウム教授(航空保安学)は、航空業界は「毎日複数の爆破予告に直面している」と述べたものの、今週の事件には「驚いた」と語った。

バウム教授によると、「脅威に信ぴょう性があり、当局が機内に爆発物が搭載されている可能性があると判断した場合にのみ、フライトは進路変更される」という。

同教授は、「偽の脅迫を繰り返し発信すれば、油断が生じ、実際の脅威が無視される可能性がある。あるいは、偽の脅迫が注意をそらすための手段となる可能性もある」と懸念を示した。

英キングストン大学の航空専門家マルコ・チャン氏はBBCに対し、これらの脅迫は「おそらくいたずらだろうが、システムがそれを現実のものとして扱うのは正しい」と述べた。

また、一連の偽の脅迫について、航空旅行に対する「安価で責任逃れ可能な混乱工作の一環」だとみている専門家もいると付け加えた。

偽情報は模倣犯によっても発生する可能性があるものの、「この3日間の事例は、組織的な犯行と模倣によるものとを区別するにはサンプル数が少なすぎる」とも、チャン氏は述べた。

ヨーロッパでは2日にも航空便に対する爆破予告があり、イギリス発の2便を含む7便で機内の捜索が行われた。いずれの機体からも爆発物は発見されなかった。

この日には、ロンドン・ルートン空港からソフィアに向かっていたウィズエアー便が、空中爆破予告を受けたため、ハンガリー空軍の戦闘機に護衛され、ブダペストに緊急着陸した。