【米中間選挙2026】 民主党がテキサス州で上院議席奪還、共和党の牙城で38年ぶり

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アメリカで3日、中間選挙の投開票が行われた。南部テキサス州の連邦上院選では、野党・民主党のジェイムズ・タラリコ候補が勝利を確実にした。同州で民主党が上院の議席を獲得するのは38年ぶりで、共和党にとって最大の番狂わせの一つとなった。

タラリコ氏は共和党のケン・パクストン候補を破り、驚異的な勝利を収めた。テキサス州で民主党が上院議席を獲得するのは1988年以来。

ほかにも民主党は全米各地で次々と議席を獲得し、上下両院で主導権を奪う流れを確実なものにした。

元教師のタラリコ氏は、昨年まではほとんど知られていない存在だった。この選挙戦では、共和党政権下での生活費の高騰を主要な争点に掲げた。

一方、共和党候補のパクストン氏は、タラリコ氏の主張がテキサス州の人々にとって進歩的すぎるかのように印象付けようとした。また、ドナルド・トランプ米大統領と一緒に何度か選挙活動を行った。

リベラル層の長年の「夢」が現実に

州都オースティンで開かれた開票イベントでは、会場のテレビ画面にタラリコ氏の当選確実を伝える様子が映し出されると、支持者らは大歓声を上げた。

支持者らは抱き合ってキスをし、祝杯をあげた。共和党の牙城であるテキサス州で議席を奪還できるとは、とても信じられないと、多くの人は口にした。

開票イベントに登場したタラリコ氏は、熱狂的な拍手で出迎えられた。「我々はテキサスを取り戻した」と、タラリコ氏は壇上で宣言した。

そして、「我々は、この世のどんな大金もテキサス州民にはかなわないことを証明した」と続けた。この発言は、米富豪イーロン・マスク氏から巨額の支援を受けた共和党のパクストン候補を念頭に置いたもの。

この数十年、テキサス州のリベラル層にとって、同州で民主党候補が上院選に勝利することは実現しそうにない夢物語だった。

テキサス州はアメリカで人口が2番目に多い州で、保守派の牙城となってきた。同州では共和党主導の政策が次々と導入され、同様の政策が後に、ほかの州でも採用されることもあった。

しかし、選挙期間中の世論調査では、州議会議員のタラリコ氏が有権者からの支持を拡大し、新しい指導者を切望していた民主党の支持基盤を活気づけていることが示されていた。

今回の選挙戦は、連邦上院選としては史上最も費用のかかる選挙戦となった。支出は急増し、総額5億ドルを超えた。

米富豪のマスク氏は、パクストン氏ら共和党候補の選挙活動を支援する特別政治活動委員会「スーパーPAC」に1億5800万ドル(約249億円)を投じた。タラリコ氏は、この巨額支援をパクストン陣営に対する攻撃材料にした。

他方、テキサス州を拠点とする共和党の政治家一家、ブッシュ家の2人がタラリコ氏への支持を表明。この予想外の展開が、パクストン氏の敗北を予感させていた。

ジョージ・ワシントン大学のクアドリコス・ドリスケル教授(政治学)は、落選したパクストン氏について、中間選挙で共和党が敗北する大きな要因になったと、BBCに話した。「客観的に見て、ひどい候補者だった」と、ドリスケル氏は同候補を評価した。

テキサス州でのタラリコ氏の勝利に加え、共和党のグレッグ・アボット・テキサス州知事の敗北は、「まさに歴史的な出来事」だったとも、教授は述べた。同州知事選で1990年代以降に民主党候補が勝利したのは、今回が初めて。

ドリスケル教授は、テキサス州で民主党が躍進したことについて、「ただ単に民主党が圧勝したというだけでなく、政権への信任が問われたというだけでもなく、(共和党にとって)まさに流血の惨事となった」と指摘。「別の方向へ進みたいと国民が望んでいることが、はっきりと示された」とした。

予備選で著名候補を破ったタラリコ氏

タラリコ氏は民主党の予備選で、知名度の高い対立候補ジャスミン・クロケット下院議員を破った。その後は、トランスジェンダーの人々を支持する過去の発言などを取り上げた、激しいネガティブ広告に直面したものの、世論調査は堅調な支持を維持していると示していた。

南部バプテストの牧師の孫で、神学校出身という自分の生い立ちを、選挙活動では前面に押し出した。街頭演説では、聖書の引用を随所に盛り込んだ。

パクストン氏の相次ぐ政治スキャンダル

一方、パクストン氏は複数の政治スキャンダルにつきまとわれてきた。2023年には汚職疑惑をめぐり、所属する共和党から弾劾訴追された。その後、テキサス州上院で無罪評決を受けた。

連邦詐欺罪で米証券取引委員会から起訴されたこともあるが、後に起訴は取り下げられた。

トランプ大統領はこれまで、パクストン氏をはじめとする共和党候補への支持を強化するため、テキサス州を複数回訪問していた。共和党への支持が固い地域にも足を運んだことから、共和党指導部が投票率をどれほど懸念していたかがうかがえる。

有権者、物価高や対イラン戦争に不満

有権者の間では、ガソリン価格を含む生活費の高騰に不満が広がっていた。トランプ氏の関税政策や対イラン戦争が価格高騰の主要因だと、人々は非難している。

ヒスパニック系の有権者や、米南部国境沿いの住民は、トランプ政権の移民政策を問題視している。

トランプ政権下では不法な越境件数は激減し、これはテキサス州の有権者から支持されていた。しかしながら、テキサス州人口の約3分の1を占めるヒスパニック系住民の間では、トランプ氏への支持が大幅に低下したことが世論調査で示されていた。

今夏が終わるころから行われた複数の調査では、テキサス州のヒスパニック系有権者の大多数が、トランプ氏を支持していないことが示された。こうした人々の多くは、2024年の米大統領選でトランプ氏に投票し、同氏のホワイトハウス復帰を後押しした。

世論調査ではまた、ヒスパニック系有権者の間で、民主党の支持率が共和党を大幅に上回っていることも示されていた。

3日の投票を前にBBCの取材に応じた、テキサス州の多くのヒスパニック系住民は、考えを変えた理由として、トランプ政権による移民の取り締まりを挙げた。ヒスパニック系住民の多くは、強硬な措置によって米市民が拘束され、非暴力的な犯罪者が無差別に一斉検挙されたと批判した。